今、3人に1人がネットいじめに悩まされているって言われているのをご存知でしょうか?
ネットいじめは、今までのいじめとまったく異なる特徴があるってこと。
私はイジメられた側にも居たし、イジメる側に立ったこともあるので、分かります。
SNS・ソーシャルメディアやネットが普及する中で、誹謗中傷の関係についてはもっとちゃんと対処していく必要があると思います。
そこで、ネットいじめの原因や、メカニズム、感情の例とその対処法をご紹介したいと思います。
ネットでの誹謗中傷はなぜ起こるのか
誹謗中傷というと、番組名や特定のSNSや、亡くなった人の名前が出て、ようやく人々が考え出すことが多い。
だけど、大人も子供も含め、多くの人が悩まされていると言われているほどの身近な問題です。
まずSNSでの誹謗中傷、いわゆる「ネットいじめ」はなぜ起こるのでしょうか。
いじめる側の性格が悪い、悪人だから、という答えもあるけれど、それだけではないさまざまな要素が絡んでいます。
間違った正義感
意外に思われるかもしれませんが、恐ろしいことに、誹謗中傷の多くは正義感によって起きます。
たとえばですが…よくあるのが、「これはパクリじゃないのか」って第三者がその人を攻撃することによって始まるケース。
でも、世の中って、実は完全オリジナルなものって存在しないです。
もっというと「シェイクスピア」以降は創作は全て二次創作だとも言われています。
でも、第三者が、それは誰かのパクリではないのかって言い出すことで、いきなりそれが正義になることもあります。
傍から見ると誹謗中傷ですが、その人にとっては正義で、「よくないことをすることは悪い」、「輪を乱す者は許さない」という発想になるわけです。
ほとんどの誹謗中傷はこういった正義感が原因といってもいいかもしれないってこと。
中には、おもしろ半分で、他人を引きずり下ろす快楽を得たいということもあります。
これも、もともと、「正義感」が土台にあります。
全て「自分は正義を実行している」という安心感があるから、相手を口汚く罵り、叩くことができるってこと。
人間の本性
ネットいじめだけではなく。いじめの問題って、かなり古い時代からなくならない。
なぜかっていうと、これは人間の本性のようなものだから。
一種の村八分ってものもあって、どんな街でも人数が一定以上集まれば、いじめのようなことは起こり得る。
ってことは、人間はコミュニティの中の秩序や平和を保つことを非常に重視するってことで…その正義感から行動したり、誰かをないがしろにすることが本性にあるってこと。
今、悲劇的なのは、ネットの時代になり、一気にそのコミュニティの範囲が大衆の視線に晒されるようになったこと。
だから、自分では、「自分が想定するコミュニティの中で正義を行使」していたつもりが、実は想定以上の範囲に影響が広がっていた、ということが起こるんです。
昔は、村の論理で、正義を振りかざしていてよかったけど、それがコミュニティを超えて、犯罪になったり、世に必要以上に広がってしまう、なんてことが起こり得るわけです。
劣等感と劣等感がもたらす猛烈な不安
イジメの根源は、その人の「劣等感」。
これを満たしたいし、不安を払う為にいじめをする。
特にイジメのリーダーなんてのはこの劣等感が強く、職場でも起きるのは、大人になっても変わらないからです。
私にもまったくないとは言えないけれど、まぁたとえば、自分がイジメてる人間が「自分に謝る」事で自分立ち位置を確認したりする。
誰かを更に踏みつけ、徹底的に痛めつけることによって、自分の立ち位置を高くしたり、とそんな感じです。
匿名性は攻撃性を高める
心理学者ジンバルドーの実験によると、没個性化され、匿名性が高い状況に置かれると、人は攻撃的かつ暴力的になるそうです。
人が匿名の状況に置かれて攻撃的になった様子は、匿名掲示板などさまざまな場で見ることができます。
匿名掲示板には罵詈雑言があふれており、他人への攻撃が当たり前という雰囲気だし、まさに「直接手は汚さず他人の声を借りて攻撃したい」人は、誰かに聞いてもらいたいことはTwitterで書くとすっきりできることになる。
PR TIMESの「ソーシャルメディア炎上に関する意識調査」(2011年10月)によると、「匿名登録をしているソーシャルメディア上で次のような内容の投稿はできるか」という問に対して、「人間関係で嫌な思いをした時に、相手の名前を伏せて批判」について、投稿できると回答した割合は40.5%でトップとなっている。この調査は20、30代を対象としたものだが、10代になるとこの傾向がさらに強まるそう。
普通から外れたら叩く国民性
特に日本の学校の場合は、個性的だとか、輪から外れたら「叩く」っていう傾向が強い。
この「普通」から外れたら叩くことが正義になるけれど、ここで相手が自殺すると、急に社会問題になって正義の基準が変わるという構図になっています。
ネットのいじめも同じで、いじめる側は「相手が死ぬんじゃないか」、「自殺するんじゃないか」とは思っていなくて始めるけれど、それが大衆の正義となったときに、その人を殺します。
助けたい、って思っている人がいたとしてもそういう人も「輪から外れる」ことを恐れる。
周りに同調しないと自分がいじめられる側になるから、言い出せないのです。
ネットいじめの対処法
このようにネットいじめの原因にはいくつかあるけれど、それではどのように対処すればいいのでしょうか。
親の責任を自覚する…リテラシー教育を行う
ネットいじめや、いじめなんかのその様な行動に出てしまう事。
それは誰に責任があるのかと言うと「子供を取り巻く状況や、子育てに失敗し、強い劣等感を子供に植えつけた親を含めた人達」。
したがって、そういった劣等感を植え付けない教育をすることが必要ですが、まずはネットいじめの加害者にしないことを小さい頃から意識させる。
ネットそのものを使わせないようにすればいいというのは理想論ですが、ネットのルールを作りましょう。
学校でも行われている教育ですが、未就学の段階からそういった行為が許されないものであること、自分がその立場になったらどう思うかという教育を日常的に行うのが効果的です。
- 最初は保護者と一緒に利用する
- 利用時間に条件をつけた上でスマホやパソコンを買い与える
- 利用制限を設けておく
- スマホを使わない時間を設ける
言葉の暴力を実感、想像させる機会が重要
かつてのいじめは面と向かって相手を殴ったり、本人に直接悪口を言ったけど、この場合、殴ると自分も痛いし、相手の傷ついた様子から、自分がした行為の結果が目に見えます。
ところが、インターネットでのいじめは相手の顔が見えないので、他人を傷つけても、傷ついた相手の顔が見えないため実感に乏しい。
さらにネットの場合はオンライン脱抑制効果という心理現象があって、いじめが苛烈になりやすいのです。
ネット上の情報はコピー・拡散などが容易なため、相手を深く傷つけることができてしまうけれど、リアルとは違って、「自分が暴力をやめれば、すぐに止まる」ってこともない。
サービスによっては匿名性に隠れて好き放題言うことができる。
これでは、他人を傷つけることの重みが実感できないし、他人の気持ちが分からないまま。
たとえば、サービスを提供する側が、「このメッセージは他人を傷つけるかもしれない。このメッセージを本当に投稿しますか?」というワンクッション置く仕組みを作ってみるなど、社会が工夫をしていくことが必要で、大事なのって、その自分の行為を、その人が客観視できる機会を与えること。
自分の言動がどれだけ他人を傷つけるかなど考えもしないけれど、実感を持つ機会を与えることが大事です。
残念ながら、効果的なプログラムや介入は判明していない…だからこそのメンタルをケアする
ネットいじめにあった50%のヒトは、何もすることができず泣き寝入りすることが判明しています。
つまり、いじめられた側は泣いてその場を離れるか、「気にしない」ぐらいしかやることがないってこと。
友人や家族、教師のサポートを求め、相談する人も少なからず存在するけれど、問題が解決しない場合も少なくありません。
でも、一人で思い詰めると、メンタルがやられてしまうので、自分の味方に相談するということや、一人で思いつめないってことが対策の一つです。
掲示板の管理者に削除依頼
もしも子供がいじめられている、自身の誹謗中傷であふれている掲示板の存在を確認したら、その掲示板の管理者に削除依頼を出します。
どんな掲示板サイトにも管理者がいるので、サイト内にある「削除依頼」「お問い合わせフォーム」などを探して、そこからネットいじめの事実を通告して、削除するように依頼します。
こうした窓口が分からない、削除依頼に応じてもらえない場合は警察など専門の窓口に相談しましょう。
すでに被害が確認されている場合はこうした法律に違反していることを踏まえた上で相談をすると警察も動きやすくなります。
- 誹謗中傷や脅迫めいたメールを送る → 刑法第222条の名誉毀損、脅迫
- ネット上に実名を含む誹謗中傷を書き込む → 刑法第230条、第231条の名誉毀損、侮辱
- 裸の写真を撮ってネット上に投稿する → 児童ポルノ禁止法
- ネットいじめ行為全般 → いじめ防止対策推進法
ネットいじめに遭っている、またはそれが疑われる場合に相談できる窓口は、以下の通りです。
正義の基準はその都度変わる…惑わされないで
私の好きなドラマに「ペーパーハウス」ってドラマがあるんですが、このドラマの登場人物や主人公は、いわゆる「社会からはみ出た負け組」なんだけれど、視聴者目線で見てみると、社会や警察が敵にしか見えない。
そして、登場人物が、社会の悪を正してくれるヒーローのように見えてくる。
正義や悪の基準は見方によって変わるし、多数派が正しいことはないってこと。
ネットいじめを受けたとしても、大事なのって「自分に自信をなくす」のではなくって、自分の正義を磨くことかもしれないです。
多少の状況の変化に負けないような正義を確立しましょう。
匿名で誰かがあなたを叩いたとしても、それは、あなたの、自尊心、自己肯定感をぶち壊す”悪”。
奴らによって、作り上げられた幻想のせいで、あなたのやっていることを壊してしまったり、落ち込む必要はありません。
奴らのストーリーでは悪かもしれないけれど、それは思い込みで、あなたの正義や心構えを大事にしてください。
まとめ
実際の暴力を伴わないため発覚がしづらく、より陰湿化しやすいネットいじめについての原因や、対処法、そして加害者側になってしまわないためのポイントを解説しました。
いじめる側の理屈としては普通から外れたら叩くことが正義。
イジメは、正義感、そして劣等感の感情が動機で起こることが多いです。
また、ネット特有の匿名性で人は凶暴性が高くなるという研究結果が出ています。
ネット社会の発展に伴ってネットいじめの問題もより複雑化、高度化することが予想されるし、陰湿化しやすいネットいじめについて加害者をこれ以上作り出さないことが必要です。
でも、あなたは悪くないので、どうか、自らを追い込みすぎないでください。